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店の前の立て札を『OPEN』にして店の中に戻る。
大通りの様子を見ると、朝市に買い物に来た人がチラホラといる。だがこの様子では客が来るのはまだ先になりそうだ。
「朝飯を食べようか」
店は開けたままにして鞄を持って二階に上がる。
扉には鈴が付いてるしカウンターに呼び鈴もあるから客が来ればすぐに分かるだろう。
「ふんふんふふふんふ~~ん」
鼻歌を歌いながら鞄の中を漁る。
「あ、あったあった」
お目当てのそれを逃がさないようにガッチリ掴んで鞄から引き抜いた。
「ゴケェーーーーーー!!」
引き抜いた途端、耳をつんざく声でソレが鳴く。
「近所迷惑だから、早く今日の分産め」
首をガッチリ握っているので逃げられる筈もなく、手の内の鶏はバサバサと無駄に羽を散らす。
暫く首を持って揺さぶっていると、鶏は諦めたのか金色に輝く卵を一つ落とした。
「よし、ご苦労」
卵を産むと後はうるさくなるだけだから、鶏は鞄にしまっちゃおうね~。
鶏を鞄にぶちこんで代わりにパンとベーコン、それといくつかの調理器具を取り出す。
フライパンで軽くベーコンを焼いて卵を割り落としてパンに乗せて完成だ。
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