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「もう帰るの?」
「用があるので」
「……ふーん」
私は歩道橋を渡りながら、ついさっき佐々さんと交わした言葉を思い出していた。
「暇潰しの相手にちょうどいいと思ったのにな……」
危うく、暇潰しの相手にされるところだった。
大事な用があるからと屋上を後にした私は、制服のまま待ち合わせている場所へと向かう。
誰と待ち合わせているか?
「それ、急ぎ?」
「急ぎ……のような、そうじゃないような」
「へー……友達と夜遊びだ」
「友達ではないです。……今日は金曜日なので」
「うん、全然分からない」
……うん、分かってもらえないだろうな。
金曜の夜。
今日は、私がここに居るって実感できる日。
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