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魔法とは非常に便利なモノである。
魔法の文化は人類が文明を築いた時点から存在していたらしく、既に生活の一部となっている。
しかし、その反面で魔法を悪用する人間も存在した。
人間は魔法を基盤とし、文明を築き、国を創った。
とある国は作物が豊富。
とある国は鉱物が豊富。
とある国は知識が豊富。
とある国は武力が豊富。
各々は自らに秀でた部門の名を冠した。
優れた武闘士を有する農国。
優れた鍛治士を有する鉱国。
優れた魔導士を有する聖国。
優れた騎士団を有する帝国。
建国から100年と少しの間は互いに助け合い平和な世界を築いていた。
しかし帝国の三代目に帝王の座に就いたフェルキスは愚かにも武力を以て他国から全てを我が物にしようとした。
反発した三国は同盟を締結。
帝国と三国は20年に渡る戦争に入る。
鉱国が優れた武器を造り、聖国が武器に加護を与え、農国の戦士が闘った。
始めは拮抗した帝国も次第に疲弊し、五年は均衡を保ち、十年で圧され始め、二十年で敗退した。
敗れた帝国は未開の地に逃げ込み、三国は互いを称え合い、一つの国となった。
名を勇国ディレキテス。
帝国の屈強な騎士団と拮抗した農国の闘士団を率いた英雄の名を冠した。
そして10年の時が過ぎた。
勇国は滅びた。
以上がディレキテス勇国建国記である。
尚、英雄ディレキテスを有した勇国が何故滅びたのかは明確には解明されていない。
古の文献にも明記されておらず、『北の地』『帝国』そして『魔族』。
その三つの単語のみが後世に遺されている。
2000年後の現代を生きる学者達は帝国が逃げ込んだ未開の地、北の地から侵攻してきた魔族により滅ぼされたと解釈している。
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