紫陽花ナミダ(後編)

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「えー、今日は前回の続きから読んでもらう――」 教科書を広げながら先生の声に耳を傾ける。 大学に行くとなると、悠長に窓の外を見ているわけにはいかない。 名の知れた大学を目指しているわけでもないし、今からでも遅くはない。 ……と、信じたい。 「2行目から大内、読んでくれ」 「はい」 今日は金曜日。 夜には雨が激しく降ると予想されているぶん、午前中にも関わらず、灰色の雲に覆われた街は真っ暗だ。 雲の上では雷が鳴ってる。 時々遠くの空で光るのが気になって、言ったそばから窓の外を見ていた。 急に、なんとも言えない不安が押し寄せ、胸がざわついた。 なんだろう……、と前に視線を戻せば先生と目が合ってしまう。 「次、野々原」 「はい……」 後ろの子に何行目を読めばいいのか教えてもらうと、雷の音を耳にしながら教科書の内容を読み上げた。
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