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佐々さんに、全部話した。
「だからその頬……ね」
急に奥さんが出てきて、ビンタされて。
これ、なんてドラマ?
「フフフ」
なんだかもう訳が分からなくて、笑いがこぼれてしまう。
「フフ……」
そんな私の様子に、このままではらちがあかないとでも思ったのか、佐々さんはテーブルに手を着いて立ち上がる。
……あーあ、嫌われちゃったかな。
人様の家で勝手に酔っぱらって、一方的に話をして、本当に非常識だよね。
でも、私は来ること拒んだもん……。
こうなることは予想してなかったけど、泣いて迷惑を掛けてしまうことは想像出来てたから。
――なんて、思ってはみるものの。
これで屋上に行けなくなるのは嫌だな……。
そう思った瞬間。
なぜか突然、どうしようもない孤独感に襲われた。
「フ――うぇ……」
「え……なに? さっきまで笑ってたじゃない」
はらはら涙を流しながら私は、
「嫌だ」
と何度も言葉を繰り返す。
「どうしたの」
さっきから頭の上でカチャカチャと音が鳴っている。
佐々さんは呆れてテレビでも見始めるんだと思っていたけど、テーブルの上の食器を片付けているだけみたい。
「――だったのにな」
「? なんて?」
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