オレンジ(後編)

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  佐々さんに、全部話した。 「だからその頬……ね」 急に奥さんが出てきて、ビンタされて。 これ、なんてドラマ? 「フフフ」 なんだかもう訳が分からなくて、笑いがこぼれてしまう。 「フフ……」 そんな私の様子に、このままではらちがあかないとでも思ったのか、佐々さんはテーブルに手を着いて立ち上がる。 ……あーあ、嫌われちゃったかな。 人様の家で勝手に酔っぱらって、一方的に話をして、本当に非常識だよね。 でも、私は来ること拒んだもん……。 こうなることは予想してなかったけど、泣いて迷惑を掛けてしまうことは想像出来てたから。 ――なんて、思ってはみるものの。 これで屋上に行けなくなるのは嫌だな……。 そう思った瞬間。 なぜか突然、どうしようもない孤独感に襲われた。 「フ――うぇ……」 「え……なに? さっきまで笑ってたじゃない」 はらはら涙を流しながら私は、 「嫌だ」 と何度も言葉を繰り返す。 「どうしたの」 さっきから頭の上でカチャカチャと音が鳴っている。 佐々さんは呆れてテレビでも見始めるんだと思っていたけど、テーブルの上の食器を片付けているだけみたい。 「――だったのにな」 「? なんて?」
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