第1章  特別な人

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どうしよう呆れた? 怒った? オロオロするあたしを載せてさらに車は進んで、 再び停車した。 「いちご、ちょっと降りない?」 「せ、先生?」 「ちょっと話そうよ。」 ドアを開けて差し出されて手は、 あたしをいとも簡単に捉えて引っ張り出した。 そこは、何かの記念の石碑を中心に整備された小さな公園で、 昔遊んだ記憶がある。 あたしがぼんやりとしているうちに、 モーリはカランカランと 自販機で飲み物を買っていた。 「はい」 そう言って渡されたのは いちご牛乳 「つい買っちゃったけど、  飲める?」 「あ、は、はい。」 「よかった」 モーリの笑顔にまた、ドキンとする。 やだ、もうさっきからこんなんばっか。 本当はいちご牛乳飲んだことない。 名前と同じなだけに、 イメージ通りって思われるの嫌で、 あえて選ばないようにしてた。 いつもコーラとか炭酸系。 あたしが黙って缶を見つめているのを不思議そうに見て、 「あ、そうか、ごめん」 そう言ってあたしの缶を取り上げると、 ペコっと音を立てて開けてくれてもう一度手渡してくれた。 /// モーリは何から何まで、自然で、 なのにいちいちあたしはドキドキする。
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