砕かれた水晶

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 赤い屋根が見えてきた。勇一の家だ。ドアの近くの犬小屋では子犬のジョンがこちらを睨んでいる。寒さと怖さに震える指でインターホンを押した。すぐにドアは開いた。 「たかし君、待ってたよ。上がって上がって」 「いや、おかまいなくー」 「お前が言ってどうすんだよ」  きりっとした鼻とキレイな二重。相変わらず外国人のような顔立ちをしている。家に入ると、とりあえず殺気。その正体は台所からこちらに向かって鼻息を荒げている勇一のお母さん。 「あら~、たかしく~ん。いらっしゃっ…ふぉぉお!」  もはや何も言うまい。 「母さん、静かにしててよ。さ、僕の部屋へ行こう」  僕の手を引っ張り勇一の部屋まで連れてかれる。後ろからはまだ鼻息が聞こえる。すごい肺活量だなあ。 「この前買った新しいゲームがあるんだ」  勇一はさっそくテレビゲームの準備をしている。 「まぁ、一人でちょっと進めてみたんだけどね」  見せてきたのはドラゴンクエスト7のパッケージ。 「へえ、どんな話なの?」 「主人公の住んでいる小さな島だけが、その世界の全てらしいんだ。魔物もいない平和な島で、敵も出てこないし、全然ドラクエっぽくないんだ」  そう言ってプレイステーションの電源をつけた。
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