砕かれた水晶

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 後に知ったことだが、このドラクエ7はシリーズ屈指のボリュームと謎解きの多さで、初見ではクリアに百時間以上は優にかかるものだった。  僕と勇一は二人で頭をひねりダンジョンを攻略し、集めた謎の石盤を台にはめた。すると主人公達は過去の世界に飛び、魔物に滅ぼされるはずだった村を救うことが出来た。  現代に戻ってくると、その村がある島が主人公達の住んでいる島の上に現れた。 「すげえ……歴史が変わったぞ」  目を輝かせて画面を見つめる勇一。 「でも、島の洞窟にはまだ魔物が出てくるね。この平和な世界にも魔物が出て来ちゃったよ」 「最後はこの現代に魔王が現れたりするのかな? 楽しみだなあ」 「ゲームしてる勇一君は生き生きしてて面白いよ」  勇一が画面から目を離さずにすっと呟いた 「いつか自分でこんなゲーム作ってみたいなあ」 突然ノックの音がした。 「昼ご飯よー」  勇一の母についていくと、居間のテーブルにはオムライスが四つ 「何で四つも皿があるかと思ったら、たかし君来てたのか。いらっしゃい」 「お邪魔してます」 がっしりとした体格に刺さりそうな顎髭。黒いタンクトップの内側から鍛え上げられた胸筋が浮き出ている。 「勇一君の家族ってさ。キャラ濃いよね」
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