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謎を解いて、強いボスに苦戦して、レベル上げをして、また挑んで……。僕達の間に流れる時間は瞬く間に加速していった。
「……もう五時半だけど大丈夫か?」
タイミング良くカラスの鳴き声が耳に響く。窓を見ると、オレンジ色の空。いつの間にか夕方になっていた。
「もうそんな時間? やばい、急いで帰らないと」
ジャンバーを着て、急いで玄関に行く。
「それじゃあ明日の放課後また続きやろうぜ」
右手の親指を突き立ててきた。
「うん、また明日」
こちらも親指を突き立てる。
さて、急いで帰らないと。公園の近くを通って近道してみよう。
少しすると、歩いている僕の後ろをパトカーが数台追い抜いていく。急いで左手をおでこに、背筋を伸ばして敬礼の姿勢をとる。パトカーが止まったのは、いつもの公園。周りを黄色いテープで囲っている。警察官が多くてテープの内側がよく見えない。警察官の一人がこちらに気付いた。
「ガキは引っ込んで、早く家に帰れ」
「おじさん、事件ですか?」
目をキラキラさせて見上げる。
「あぁ、そうだよ」
僕を睨みつけ、面倒そうに応える。
「格好いいなあ。僕、将来の夢は警察官なんです」
再び敬礼をバシッと決める。
「お、それは嬉しいじゃないか。頑張れよ」
仏頂面が柔らかな笑顔に変わった。ちょっと怖かったけど、やっぱり警察官は正義の味方だ。
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