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ガチャン。玄関のドアが開いた。部屋に戻ってきた父に問い詰める。
「ねえ、お母さんと舞は?」
「……死んだ」
「嘘だ! ……まだ家に帰ってきないだけだ」
「そうだと良かったな」
「僕、二人を探しに行ってくる」
玄関に行こうとする僕の肩を父の手が掴む。
「いい加減に目を覚ませ、たかし! 現実を見ろ! 二人は死んだ……もういないんだ」
膝に力が入らなくなり、僕はその場に座り込んだ
「嫌だ……また、お母さんの作ったご飯が食べたい」
父は自分の部屋に行ってしまった。
床には涙が溜まり、嗚咽が家族との思い出を吐き出した。サッカーをしたり、キャッチボールをしたり、バーベキューをしたり、思い出の中の二人は不気味な位に生き生きとしていた。
いつしか、涙は止まった。眠くはないが、とても疲れた。自分の部屋に行こうとすると、父の部屋から話し声が聞こえた。ドアに耳を当てる。
「舞……すまなかった。馬鹿なパパを許してくれ……」
「お父さん?」
「たかし、聞いてたのか」
「大丈夫お父さん?」
「たかし、知ってるか? 死んだ家族は天国でまた一緒になれるんだってさ。嫌なことも全部忘れて、永遠に……幸せにな」
嫌な予感がした。ドアノブに飛びつき夢中でガチャガチャと回した。だがドアは内側から鍵がかけられていて開かない。
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