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柚葉は思ったことがすぐ顔に出る、隠し事のできないタイプだ。
「クリスマスはあたしと過ごすって約束したくせに破りやがって!」
「柚葉は僕の部屋のドアを蹴破ってるけどな」
「細けぇこと言ってんじゃねぇ!」
理不尽にもほどがあるだろ、それ。
つーか僕の部屋のドアは細かいことなのか。通算三枚目になるドアは細かいことで済ませていいことなのか。ここは一度、しっかりと話し合うべきだ。
そもそもクリスマスに一緒に過ごすなんて幼き頃の約束だ――とないがしろにするつもりはないけれど、それにしたって柚葉は固執しすぎている気がする。
ブラコンという不治の病にかかっているとしても、友達とクリスマスを楽しむくらいには軽度だと思ってたんだけどなぁ。
「ていうかなんだって僕と過ごしたいんだ? 平日だってやることもないのにほとんど一緒にいるだろ」
友達を家につれてくることはあっても行くことはほとんどない。そのつれてくる友達だって毎回同じだし、何故か僕まで同席させられる。
僕たちはいいとしても相手側は嫌だろうに、柚葉は頑なに譲ろうとしないのである。
せめての救いが露骨に嫌がられていないところだろう。これで嫌な顔をされてたら自殺ものである。
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