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「っと、もうこんな時間か」
遥が壁掛け時計を見て、言った。
「じゃ、そろそろ帰るね」
「ん、そうか」
「じゃあね、霞。さようなら、勇厳さん」
「……ほゎ」
「あぁ」
ん?霞の声がずいぶん小さかった様な。
「…あれ?雹太さんは?」
…そういえば。
「勇厳さん、父さんは?」
「む?雹太さんなら、少し前に出掛けたぞ?」
なるほど。どおりで静かだった訳だ。
「じゃ、雹太さんにもよろしく言っておいてね。バイバイ、霧斗」
そう言って遥は、小さく手を振った。
「おう、またな」
遥が部屋を出る。すると勇厳さんが、
「…霧斗、送っていってやれ」
と言った。
「え?必要ないと思いますが…」
「いいから」
「はぁ…。霞、お前はどうする?」
言いつつ、霞を見る。霞は、ウトウトしてた。
「…へやで、ねてる」
途中から静かだったのはそのせいか。
霞はふらっと立ち上がると、ゆらゆらと歩き去った。
「大丈夫か?」
「…じょぶ」
…大丈夫らしい。
「ふぅ。じゃあちょっと行ってきますね」
「あぁ」
茶の間を出て玄関へ。靴を履いて外に出ると、ちょうど遥が門を閉める所だった。
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