1.故郷の人々

4/32
前へ
/113ページ
次へ
…黒、白、赤? 一瞬、頭の何処かが反応したけど、何の事だか分からない。 「霞?今のは…?」 霞は、意味の無い事は喋らない。だから、今言った事にも何らかの意味があるはずだ。 「…わからない…?」 言われて、改めて考えてみる。 黒、白、赤。黒、白、赤。黒、白、赤。黒、白、…紅。 (ん?紅?) 黒で、白で、赤で紅…? 「…ッ!」 唐突に、頭に鋭い痛みが走った。 「…きりと…?」 何だ、今のは…ってあれ?何かに気付いた気がしたんだが…? 「あぁ、いや、何でもない。…えっと、スマン、何だか分からない。」 「…そう」 霞は感情を失った。しかし代わりに、霞は素晴らしい観察眼と凄まじい第六感を得た。 恐らく、今のはその観察眼か第六感によって、俺の何かが見えた、または感じたのだろう。 俺の知らない何かを。 …まぁ、だからと言って、何かが変わる訳でもない。 もしかしたら、凄く些末な事かもしれないし。 そう結論付けて、俺はその思考を打ち切った。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加