1.故郷の人々

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その時、家の古い門が来客を告げた。 「ん?誰か来たみたいだな」 「…うん」 霞の部屋の窓は門の反対側な為、来客が誰かは分からない。 今、すぐに応対できるのは勇厳さんだけなんだけど…、あの顔だからなぁ…。 初対面の人の八割は逃げ帰る迫力を持っているのに、勇厳さんはあんまり自覚していない。 …なんか、不安だ。 「俺、ちょっと様子見てくる」 そう霞に告げると、 「…わたしもいく」 と返してきた。 「ん、じゃあ行くか」 「…うん」 言って、霞はベッドから降りて立ち上がる。わりと小柄な霞は、俺の胸辺りまでしか身長がない。 扉を開け、一階に降りる。 そのまま廊下を進み突き当たった左の部屋が、茶の間兼応接間だ。玄関から見れば入ってすぐ右。 どうやら来客は逃走する事なく家に上がった様で、見慣れない靴が玄関にあった。 「…はるか」 唐突に、霞が口を開いた。…いや、タイミング的にはバッチリだったけど。 「ん、そうか」 茶の間に入ろうとした所で、中から声が聞こえてきた。
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