第1話 くだらないはじまり

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俺はそんなことを考えながらバイト先へと着いた。 バイト先に着くと店長に事務室に呼ばれた。 「いやね、君はじめてどれくらいになる?」 「一ヶ月ぐらいです」俺は嫌な予感がした、予感は的中する。 「いきなり来て早々悪いんだけど……私達も頑張って教えたつもりだけど…」店長は申し訳なさそうにこちらを見る。 「一ヶ月で仕事ができないと話しにならないんだよね、若いわりに朝から頑張ってくれてるしそこは理解してるつもりだけど… 私達もいつもつきっきりってわけにもいかないんだよ。 来月の5日で解雇ってことになるんだけど……」 「そうですか…」俺はできる限り無表情で答えた、悔しかった。 頑張ったつもりだ、自分なりには 至らない自分が悔しくて仕方なかった。 「来て早々気分悪くするようなことを言ってすまない。」店長は淡々とそう言った。 「いえ、至らなかった私が悪いんです。 5日までですが頑張りますのでよろしくお願いします」俺はそういって深々と頭を下げた。 「いいバイト先が見つかるといいね」店長は優しくそう言った、店長なりに気をつかっているのだろう。 「はい、話しは以上ですか?」俺はさっさと話しを切り上げたかった、この場に居続けるのは苦痛で仕方ない。 店長は黙って頷いた、俺は一言「失礼しました」と言って事務室を出た。 今日、やけにバイト時間が短いと思ったら…そういうことか そう、俺は勝手に解釈した。 バイトは昼頃で終わった、俺は皆に頭を下げてバイト先からそそくさと立ち去った。 【足手まとい】【役立たず】俺にとって一番心に刺さる言葉だ。 いつも周りより劣っていた俺にとってそれはどんなに遠回しに言われようと 一番、突き刺さる言葉だ。 俺は、まだ昔の町並みが残る住宅街を抜けて自宅へと向かう、足取りはいつも以上に遅い。 いつもと同じように電車に乗り、自宅から最寄りの駅で降りる。 いつもと変わらない日常なのに何故か俺はそれがすごく煩わしく感じた。
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