ソーダ水(前編)

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佐々さんと関係を持ってしまった翌日の私は、最高にひどかった。 屋上ではずっと彼の顔を見れず、普通にしようと思えば思うほど普通が分からなくなって。 その日も佐々さんの家に行くことになったので、2人で受付の前を通った時。 米谷さんが、 「あらまぁ、もうとっくに梅雨明けしたよ?」 なんて、わざとらしく声を掛けてきて――。 「あぁ。僕達付き合うことになったので」 「え、あの、佐々さん?」 「言うつもりはなかったよ。けど、おたくがやたらよそよそしい態度とるから、居心地悪かった仕返し」 「こ、子供ですか」 「それはそっちでしょ」 「ハハハッ。どっちもまだまだ子供だよ」 「……米谷さんから見たらそうでしょうよ」 「まーあ、言ってくれるね」 「佐々さん行こうっ。ここから出よう」 変に意識させられて仕方がない。 その後からはもう、受付の前を2人で通る度に米谷さんはニコニコニコニコ。
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