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やっぱり食べるのに時間が掛かってしまったけれど、佐々さんに急かされることはなく、私は最後まで完食することが出来た。
「携帯、さっきから光ってる」
「あ……」
白雪さんかな。
食事の前まで何通かメールをしていたから、きっとその返事だ。
「服、着替えてくるから。帰る支度しといて」
「あ、はい」
私も手提げカバンの中身をチェックして、忘れ物はないか辺りを見回す。
「……」
テレビ台の上の伏せた写真立てのことは、付き合い始めたからって聞くことはない。
そこは“かっこ仮”が一線を引いてくれていた。
することしておいて、一線も何もないけど……。
――チャ
佐々さんが戻ってくるまで、とメール画面を立ち上げる。
やっぱり白雪さんからのメールだった。
体調はもう大丈夫?
明日から夏休みだし、一緒に宿題やらないっすか?
まぁ……それは口実で、顔が見たいだけなんすけどねw
白雪さんからのメール文を、上なら下まで読んでいく。
「……は?」
「なに?」
声がして顔を上げると、ラフな私服姿になった佐々さんが立っていた。
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