ソーダ水(前編)

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「あ、いえ……友達からのメールで、ちょっと」 「じゃあ、その返事を返し終わったら出るよ」 「だ、大丈夫です。すぐ出られます」 携帯を閉じて手提げカバンを腕に掛けると、佐々さんの後に付いてリビングを出る。 スニーカーを履く彼の後ろで私は、白雪さんからのメールの内容を思い出していた。 図書館なら冷房効いてるし、やるなら図書館でどうっすか?   図 書 館? 明日は月曜じゃないから―― 図書館には佐々さんがいる。 別に不味いことは1つも無いんだけど、私の気持ち的な問題があって。 でももうずっと、学校外で人と会うなんてこと無かったからな……。 高校に入って誘われたのは、大内くんにスパイクを見に行こうって言われた時以来で。 ……悩む。 悩むわたしがいて、悩めるわたしがいた。 もし大内くんに誘われたのが今だったら、私は“ごめんなさい”以外の返事をしただろうか。
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