153人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、いえ……友達からのメールで、ちょっと」
「じゃあ、その返事を返し終わったら出るよ」
「だ、大丈夫です。すぐ出られます」
携帯を閉じて手提げカバンを腕に掛けると、佐々さんの後に付いてリビングを出る。
スニーカーを履く彼の後ろで私は、白雪さんからのメールの内容を思い出していた。
図書館なら冷房効いてるし、やるなら図書館でどうっすか?
図 書 館?
明日は月曜じゃないから――
図書館には佐々さんがいる。
別に不味いことは1つも無いんだけど、私の気持ち的な問題があって。
でももうずっと、学校外で人と会うなんてこと無かったからな……。
高校に入って誘われたのは、大内くんにスパイクを見に行こうって言われた時以来で。
……悩む。
悩むわたしがいて、悩めるわたしがいた。
もし大内くんに誘われたのが今だったら、私は“ごめんなさい”以外の返事をしただろうか。
最初のコメントを投稿しよう!