ソーダ水(前編)

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私は白雪さんに、大まかに説明した。 「――ほう。2人が再会した場所で、今も2人だけが利用してる、か」 「うん、今はね……」 「それにしても凄いっすねぇ。3年ぶりに会うなんて」 これで一筆書きたいっす、と隣から呟かれる言葉。 「白雪さんっ」 「ヒヒ、うそうそ。ノンフィクションは書くの苦手なんだよなぁ」 話したことを後悔してしまうのだけは嫌なので、冗談だと分かると安心する。 「付き合ってるってことは、両想いだったんすか? ひょっとして、向こうも沙彩ちゃんの存在を知ってたとか」 「ううん、それはないと思う。はじめは私も考えたけど、佐々さんからその話が出たことないし。両想いでもないよ」 佐々さんのことは、好きか嫌いかで聞かれると、好きだ。 でもこれは恋とは違う。 ハッキリ言えてしまうのが答えだ。 「ほほー。お兄さんの名前は佐々さん、と」 「う、うん」 ……なんか、佐々さんの話を人と話しているのが不思議。
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