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「私、ずっと分からなかった。自分が今、何を思いながら生きてるのかとか。分からなくて……」
そんな時に出会った人。
いつの間にか特別になった、金曜日。
「私、周りからすればもう大人でしょう? けど、考え方も振る舞いも全然子供のまんまで。子供の頃は、ほっぽってたら大人になれるんだと思ってた。でも……全然なれやしなかった」
「そか……。思ってもなかったっすよ、沙彩ちゃんがそんな風に考えてたなんて」
「うん……」
自分が嫌いで、病院から見える煌めいた世界も、いざそこへ立ってみれば難しい問題ばかりでつまらなかった。
「そんな時に出会った人がいてね。もうずっと年上の人……私に好意を抱いてくれてた」
でもそれは、嘘だと思った。
偽物だと思ってた。
「何度も過ごした彼との夜が、いつの間にか必要なモノになってたんだと思う」
「……なんでその人とは別れちゃったんすか?」
恐る恐る聞いてきた白雪さんの問いに、私は首を横に振る。
「そもそも付き合ってなかったから」
「えっ。マジっすか」
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