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私は佐々さんの言葉を思い出す。
“交際している人間がいたら、自宅に異性をあげるなんてこと僕はしない”
佐々さんが嘘をついているとは思えない。
嘘をついたところで利益も何もないし。
でも、大事に想っている人なら……。
リビングにある写真立てがそう思わせた。
もしかしたら、写真なんて入ってないかもしれない。
考えすぎかもしれないけど、私が二次災害を起こさぬよう誰かが用意してくれた物だ。
――なら、伏せられた写真立てを見つけていなかったら、彼のことを好きになったかもしれない?
ううん、写真立てが無くても……。
だって佐々さん、たまに凄く冷たい表情をする。
私の思い過ごしならそれでいいんだけど、佐々さんもまた、何かを抱えているんじゃないか。
「自信あるよ。私と佐々さんはかっこ仮の関係だから」
「……当事者が言うならそうなんすかね」
そっかぁ、と何度も繰り返す白雪さんは、おもむろに携帯を開く。
「あ……電話なら外に出たほうがいいかも」
「ヒヒ、違うっす。ちょっと見せたいものが――」
そう言いながら白雪さんは、携帯の画面をこちらに向けてくる。
「小説……?」
画面には、白雪さんが書いている小説の表紙が映っていた。
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