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「学校の廊下ですれ違うだけのあの子とか、教室の端を背中丸めて歩いてる子とか、からかわれて何も言い返せないあの子とか。実は凄いことやらかしてたり、頭の中でとんでもない悪事を働いてたりするもんす」
皆じゃないけどね、白雪さんはそう付け足しながら携帯を閉じる。
「物語を書いてるとさ、そうゆうことばっか考える。だから、沙彩ちゃんの話を聞いたとき珍しいことじゃないと思ったんすよね。それを沙彩ちゃんが、ってことにはびっくりしたけど」
「……そっか」
「気にしてる人に気にするなって言ってもアレだけど、沙彩ちゃんがいつか、気にしないですむ日がくるといいなー」
机の上で両手を伸ばしなから、白雪さんが言う。
「私は見ての通り、ポジティブっすから」
「なんか……白雪さん、大人」
「えぇ、んなこたないっすよ。これでも昔は悩んでた」
「……それは、さっき言ってた“憧れ”のこと?」
顔色を伺いながら私が聞けば、白雪さんが一瞬、悲しそうに笑う。
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