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「5組の細田さん、知ってる? 私は中学が一緒だったんすけど」
「あ……分からない、かな」
「最近退学しちゃったみたいで、その理由が赤ちゃんができたからとかなんとか」
「に、妊娠?」
「うん。相手は他校の男子でね、親の反対を押しきって産むらしいっす」
5組の細田さん、細田さん……。
どんな人か想像してみるけれど、やっぱり頭に浮かばない。
「すっごく真面目な子なんだよ。休み時間は席を立たずに次の授業の予習してるくらい」
私も、今まではそうだったな。
……勉強はしてなかったけど。
「人って、分からないっすよ。携帯小説に出会ってから、いろんなジャンルの話を読んできたけど、ノンフィクションなんか読んでると、自分だけが不幸だって思ってたのがバカみたいに思えてくるんす」
それは、自分だけが不幸だと感じることがあったってこと?
「うん……そうだね」
「うん。でね、私も沙彩ちゃんに話したいことがあるんすけど」
「……」
「聞いてくれる?」
そう言って、唇を広げる白雪さん。
そして、場所を移そうと言った。
全然進んでない課題プリントをバッグに詰め込むと、ここから暫く歩いた距離にあるという白雪さんの家へと向かうことになった。
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