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手提げカバンの中で光る携帯には気付かず、目を覚ました時にそれを確認する私は、白雪さんからのメールを読んでまた懐かしい気持ちを思い出すことになる。
あぶぶぶぶーっ。
大丈夫かい?
急に倒れてびっくりしたっす。
元気な顔見たいけど、明日から夏休みだからね。
……遊んでくれるよね? 遊んでくれるよね?
顔見るまで心配っす!!!
「フフ」
あの日、泣いて走って佐々さんの家に行った日。
学校で泣いてしまった時のこと、それを白雪さんが問いただしてくることはなかった。
絶対聞かれると思っていたのに、次の日学校に行ってみると、
「沙彩ちゃん、おはよ」
いつも通りに接してくる彼女がいて。
普段私の中に遠慮なしに踏み込んでくるぶん、気を遣ってくれていることにはすぐ気付いた。
柴田さんに何かされるんじゃないかっていう不安なんて、その瞬間、どこかへ消えてしまった。
案の定、柴田さんからの嫌がらせは続いているけれど、白雪さんが隣にいる時なら、何をされてもあまり落ち込むことはない。
思ったより、彼女の笑顔に助けられている自分がいるのかもしれない。
初めて
この子になら本当の自分を知られても大丈夫なんじゃないか
そう、想えた。
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