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病院の帰りに図書館の屋上へ寄ると、いつものように佐々さんの姿があった。
ベンチに座って他愛ない話をして、図書館を出なくちゃいけない時間になって。
そのまま、彼の家に行くことになった。
――じー……
「……」
彼の家のマンションに着いて、リビングのソファーに座って白雪さんの小説を読む私は、もうずっと、目の前の彼にしげしげと見られている。
「佐々さん……?」
「ん」
「あの、さっきから視線を感じるんですけど」
「あぁ……いや、頭がさ」
頭?
佐々さんがテーブルの上のリモコンを取ると、やっとその視線から解放される。
「なんか、ずっと気にしてない?」
あぁ、と私は自分の後頭部に手を添えると、言葉を続けた。
「今日倒れて……その時に頭を打ったみたいで」
膝に頬杖を着いてチャンネルを変えていた佐々さんの手が、止まる。
「……倒れたの?」
「はい、貧血で」
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