ソーダ水(前編)

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  病院の帰りに図書館の屋上へ寄ると、いつものように佐々さんの姿があった。 ベンチに座って他愛ない話をして、図書館を出なくちゃいけない時間になって。 そのまま、彼の家に行くことになった。 ――じー…… 「……」 彼の家のマンションに着いて、リビングのソファーに座って白雪さんの小説を読む私は、もうずっと、目の前の彼にしげしげと見られている。 「佐々さん……?」 「ん」 「あの、さっきから視線を感じるんですけど」 「あぁ……いや、頭がさ」 頭? 佐々さんがテーブルの上のリモコンを取ると、やっとその視線から解放される。 「なんか、ずっと気にしてない?」 あぁ、と私は自分の後頭部に手を添えると、言葉を続けた。 「今日倒れて……その時に頭を打ったみたいで」 膝に頬杖を着いてチャンネルを変えていた佐々さんの手が、止まる。 「……倒れたの?」 「はい、貧血で」
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