ソーダ水(前編)

8/40
前へ
/40ページ
次へ
「どうせろくに飯食ってなかったんだろ……」 「どうして分かるんですか」 「最近顔色悪かったし、ますます痩せた気がしてたから」 見た目に分かる程痩せてたら自分で気付く筈だけど……。 半袖のセーラー服から伸びる腕を観察していると、佐々さんがさらっと発言する。 「感触が違うんだよ」 「かん?」 ペタペタと自分の腕に触れてみる。 触れながらその意味に気付いて、私は口をつぐんだ。 「実は佐々さん、結構いやらしい人ですよね」 見た目に反して。 「まぁ、性別は男なので」 「……気付いたなら言って下さいよ」 「嫌。おたくみたいなバカは、いっぺん倒れでもしないと気付かなさそうだし」 だから、と佐々さんは立ち上がるとあくびをしながら伸びをする。 「この瞬間から注意する」 「この瞬間?」 「あー、腹減った」 ……男の人って皆こう? 会話が成り立たないことがしばしば。 それとも、私の周りに自由人が多すぎるのかな。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153人が本棚に入れています
本棚に追加