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やがてパーティが開会となった。招待客の拍手の渦の中をイザベラ王女が女官に伴われて登場した。優雅なイブニングドレスを纏ったイザベラの頭部に燦然と輝くティアラが人々の目を引き付けた。イザベラは用意された演壇のマイクに向かうと一礼して、招待客へのお礼と挨拶の言葉を述べた。
それから、招待客の食事と歓談が始まった。イザベラは招待客に次々と声をかけて歓談の輪の中に入っていった。晶子と朋美も、壁側にずらりと並んだ料理を見て回った。洋風の料理だけでなく、お寿司やおそばもあった。
「すてきな王女様ね。でも、イザベラという名前にしては日本人顔してる気がするんだけど」
取り皿に取ったお寿司をほおばりながら、晶子が言った。
「そうよ、晶子。うちの母が言ってたけど、イザベラのお祖母さんは日本人なのよ。それで、イザベラは日系三世ということになるのよ。あーっ、このシュリンプ大きいわ」
朋美は小エビとアボガドのカクテルサラダを手にしていた。
「そうなんだ。それにしてもあのティアラはすごく高そうね。きらきら宝石が輝いているもの。真ん中のダイヤモンドなんかすごく大きくてきれいだわ」
「これも母が言ってたけど、あのティアラは多分、女王継承の証しのティアラだと思うわ。あのティアラのためにこんなに大勢の招待客がここに集まったということよ」
間もなくして、イザベラは女官に伴われて晶子と朋美のところにもやってきた。間近でみて、晶子と朋美はそのティアラの美しさに圧倒された。
「今宵は、お忙しいところをよく来てくれました。お礼を言います」
イザベラが流暢な日本語で朋美に話しかけた。
「あっ、いえ。どうも。王女様、ようこそ日本にお越しくださいました。わたしは川木田朋美、そしてこちらが朝倉晶子です。今日はわたしの両親の代理で参りました」
「そうですか。おふたりは私と同じぐらいの年頃に見えますが、違いますか?」
笑みを絶やさない優雅な物腰で、イザベラは晶子と朋美を交互に見た。
「はい、わたしたちは高校二年生で、晶子は十六歳、わたしは十七歳です、王女様」
「ああ、やはり。わたしも十七歳です」
「王女様は日本語がお上手ですね。驚きました」
会釈しながら、晶子も会話に参加した。
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