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「ちょっと」
剥ぎ取ったソレを畳んでソファーに置く。
「……遠慮が無くなってきたよね、おたく」
最初は目も合わせられなかった人が、と佐々さんは渋々体を起こす。
遠慮が無くなってきてる?
……うん。今では食事に呼ばれても“お構い無く”なんて言わなくなったし。
「すみません……」
と、体の前で手を組んで謝る。
佐々さんは視線を斜め上にあげて、私を見た。
「いいよ」
でも、と言葉を続ける彼はソファーの上に手を伸ばすと、
「タオルケットは返して」
「あ」
ソファーにもたれて、また、タオルケットにくるまってしまった。
「少し寒いんです……」
私が言うと、佐々さんは無言で見上げてくる。
「なら、野々原さんも入れば」
「え?」
タオルケットから手が伸びてきて、私の腕を掴んだかと思えばグッと体ごと引っ張られる。
わわっ――。
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