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「……離婚が決まってからのお母さんは泣いてばっか。やっぱり私は笑っちゃうんす。私が笑うことをやめたら、私の中で何かが壊れちゃいそうで、怖い」
白雪さんの笑顔の裏に、そんなことがあったなんて。
白雪さんの笑顔はいつもキラキラ、キラキラしていて、私のものとは全然違う明るく周りを照らすもの。
でも……。
その笑顔が、泣いてた時もあったのかな。
白雪さんの笑った顔が隣にある時、私はホッとしてるんだよ。
その笑顔を崩して柴田さんに立ち向かってくれる時、どんなに私が救われているか。
「ごめんね、夏休み初日からこんな話」
「え、ううん。それなら、私の方こそ……」
「最後に1つ、もう1つだけ話しておきたいことがあるんすけど……いい?」
そう言いながらクッションの角を握り締める白雪さんに、私はゆっくり頷いた。
「これ」
腕を差し出してくる白雪さん。
そこには最近まで、白い包帯が巻かれていた。
見てみると、引っ掻いたような傷が1本と、他にもかさぶたの跡が残ってしまったものもある。
前に聞いたとき、転んだって言ってたよね。
「リストカット」
「え」
「誰にも知られたくなかったんすけど……これを、自慢する子もいるみたいだから。私はやった後、すぐに後悔した」
だからバレたくなかったと、白雪さんは傷の上を撫でる。
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