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「佐々さん、寒くないんですか?」
「寒い……」
「ですよね」
夏休みも中盤に差し掛かって、今日は残った宿題を持参して佐々さんのマンションを訪れた。
昼食を作るからと誘われて、それに惹かれて来たものの……。
冷房の効いたリビング。
もうずっと、イモムシみたいにタオルケットにくるまって、カーペットの上で寝っ転がるこの家の主。
私はというと、明日は夏期講習とは別に全校生徒・途中登校の日で、明日が期限の宿題もあるため、私はソファーに座って1人コツコツと問題を解いていた。
「休みなのに出かけないんですか?」
「んー……出かけたいの?」
「あ、私ととかじゃなく……」
「だって、外は暑いじゃない」
夏ですから、という当たり前の返しは飲み込んで、
「その暑さも忘れるくらいに冷えてますよ……ここ」
と、さっきから肌寒いことを遠回しに伝えてみる。
「宿題終わったの?」
だるそうな声。
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