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佐々さんと会わなくなって、1ヶ月と……少し。
佐々さんの手の感触を忘れかけては記憶を探って、心の中の空白が満たされていたことを思い知る。
優しい人に一瞬でも苛ついてしまった、あの時の感情が気持ち悪くて距離を置いた。
でも、だからって、こんなことずっと続けるわけには――。
「委員ちょー、焼きそば2つ」
「あ、いらっしゃいませ。2つですね」
「はー、やっと食べられるっす」
「フフ、お疲れ様。ご覧の通り、午後も繁盛してるよ」
聞こえてきた会話に、白雪さんは誰と話をしているんだろう、と彼女の体越しに覗き込む。
「あ、野々原さんも一緒?」
「そっす。あー、私が1人で2つ食べるとでも思ったんすか?」
「クスクス、ごめんなさい」
「ま、食べられるんすけど」
セーラー服にエプロン姿という、さっきまで私達がしていたのと同じ格好をしたクラス委員長。
テイクアウト用の容器に焼きそばを入れて、輪ゴムの隙間に割り箸を滑り込ませると、それを白雪さんに渡した。
「400円になります」
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