カレンダー(後編)

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――ブクッ、ブク 大きな鍋でぐらぐら沸騰するお湯。 「フー……」 静かに鼻で深呼吸すると、切った野菜を手にそれをじっと見つめる。 「……」 佐々さんは、そんな私をじぃっと見つめた。 「……で?」 「はい」 「おたくはさっきから何がしたいの」 「はい」 「はいって……」 簡単な料理なら私にでも出来る。 これでも1人暮らしをしているのだから、野菜を鍋で煮ることだってもう何度もしてきた。 でも……。 ――ブクッ、ブクッブク この行程が、大の苦手。 沸点をとうに超えたお湯と揺れる鍋が、私を焦らせる。 鍋の中を見ていると、それは地獄のマグマの様で、今にも罪人の叫び声が聞こえてきそう。 地獄に行ったこともなければ、そこにマグマがあるのかも分からないけれど。 ――ブクッ、ブクッ ま、待って。 今、今入れるから。
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