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――あぁ。
流れる雲を追いながら、スンと鼻を啜って気付いた。
そっか……。
気分が落ち込んだ時、前向きな気持ちになれた時、いつでも空はそこにあって、いつの時も空を見上げた。
あそこには、あそこにはお母さんがいるんだ。
「ヒク……」
直接は見たことがないけれど、幼い頃から何度も父と見ては笑ってお話をした、アルバム・写真の中で笑う母の顔。
忘れたことのないその明るい笑顔を頭に浮かべれば、不思議と空が笑っている気がしてくる。
だから安心する。
手を伸ばしたくなる。
もっと見てたいような、そんな気持ちになる。
そっと目を閉じて、深く深呼吸をする。
ふと、額に柔らかい感触。
目を開けると、空と私の間に、佐々さんの顔。
「……泣きやんだ?」
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