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「……いや」
微かに口の端を広げて、佐々さんは目の前の病院を見つめた。
「違ってたら大恥だ。気にしないで」
「はぁ」
「……野々原さんの話だと、そのツッパリ少女とは相変わらずみたいだね」
「つっぱり……?」
「問題児のこと。え、言わない?」
「はい」
「あーあ……これがジェネレーションギャップか」
「あ、でも、私が聞いたことないだけなのかも……」
「まぁいいよ、それは」
「はぁ。……まさか自分の口からあんな言葉が出てくるなんて、思ってもいませんでした」
「泣く程だったんだから、それほど腹が立ったってことでしょ。人間、自制心が効かないこともあるよ」
「……佐々さんも?」
「僕は無いかな……。食欲も性欲も、そこらの人に比べれば著しく低い。感情を取り乱すなんてことしない」
出会えてないだけなのかな、心のセーブが効かなくて困るってモノに。
そう、ぼんやり呟く佐々さん。
「睡魔はコントロール出来ないけどね」
「フ、ですね……」
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