118人が本棚に入れています
本棚に追加
フン……と、鼻から息を吐いた佐々さんは、
「ここで僕が学校まで行って、その子を叱ることも出来るわけだけど……」
と、私の顔色を伺ってくる。
「駄目ですそんなの……」
「うん。……ほら、前に言ったよね。黒板の内容を写すだけが勉強じゃないって。野々原さん、ちゃんと学べてるみたいだね……」
そう、見えるかな。
ちゃんと学べてるかな。
それは、正解なのかな。
「柴田さんに……私の言葉は届かないんだと思います」
「え、そう? その子の態度からして、十分届いてると思うけど。……なら、それが答えだ?」
答えかと聞かれれば、違う気がする。
「……」
「……難しいね」
「佐々さんは、佐々さんもそうでしたか?」
「僕は……そうだな。僕も最近まで悩んでた。人間ってのは……どうしてこんなにも難しいんだろうね」
「……。ですね」
最初のコメントを投稿しよう!