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佐々さんと話しても、答えは出なかったけれど。
彼と別れてすぐ、私は白雪さんに電話をかけた。
言葉にはしなかったけれど、柴田さんのことについてのごめんなさいを。
『途中で帰ってしまってごめんね』と、伝えた。
――翌日。
腫れた瞼は短い前髪では隠れてくれない。
登校した私を見た柴田さんは、すぐに目を反らした。
それが逆に不自然で。
昨日の私の態度に、きっとまた何か言われるんだと思っていたのに、そんな私の不安をよそに、1日は何もなく終わる。
本来ならこの生活が当たり前だったことを考えると、やっぱり私の世界は少しずつ変わっているんだ。
何もないことが平和だと思える。
今は何もないことに、とても違和感を感じる。
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