イタいの(後編)

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泣かない。 泣けない。 あれだよね。 この人の前では泣けないって思うと、いくら向こうが心配の言葉を並べてこようが、そちらの一方通行で。 それが例えば泣きたい気分の時でも、泣けない。 「……」 私は柴田さんの目を見て、震える唇を噛み締めるので精一杯。 ……私の友達。 もうずっと、そんな存在いなくて。 やっと出来た、友達と呼べる人。 白雪さんは、楽しいことを楽しいって、人と一緒にそれが出来る人なのに、私とは違うのに。 自分が誘われなかったことより、白雪さんにも同じ状況を作ってしまったことがショックで、やるせなくて。 そんなの嫌だ、やめてほしい。 私だけにしてほしい。 「野々原さんってさ、片親いないんでしょ?」 「……え?」 なに、急に。 「あなたを生む変わりに、死んだらしいじゃん」 なんで……そんな――。 小中と、同じ学校だった人の中には事情を知っている人もいる。 きっと誰かが柴田さんに言ったんだ。 ……でも、なんでそんな話を今になって? 嫌いなんだったら、それで終わりでいいじゃない。
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