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泣かない。
泣けない。
あれだよね。
この人の前では泣けないって思うと、いくら向こうが心配の言葉を並べてこようが、そちらの一方通行で。
それが例えば泣きたい気分の時でも、泣けない。
「……」
私は柴田さんの目を見て、震える唇を噛み締めるので精一杯。
……私の友達。
もうずっと、そんな存在いなくて。
やっと出来た、友達と呼べる人。
白雪さんは、楽しいことを楽しいって、人と一緒にそれが出来る人なのに、私とは違うのに。
自分が誘われなかったことより、白雪さんにも同じ状況を作ってしまったことがショックで、やるせなくて。
そんなの嫌だ、やめてほしい。
私だけにしてほしい。
「野々原さんってさ、片親いないんでしょ?」
「……え?」
なに、急に。
「あなたを生む変わりに、死んだらしいじゃん」
なんで……そんな――。
小中と、同じ学校だった人の中には事情を知っている人もいる。
きっと誰かが柴田さんに言ったんだ。
……でも、なんでそんな話を今になって?
嫌いなんだったら、それで終わりでいいじゃない。
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