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「本当、なんなの」
それも……こっちの言葉。
柴田さんに掴まれたところがシワになっている。
人に酷い言葉を言ったの、初めて……。
棒立ちになった私を、周りが気にすることはなく。
去っていく柴田さんの後ろ姿を見つめながら、発作的に、1人震えていた。
暫くしてその場を離れる私は、情けなくきゅっと口をつぐんで、その足で正門を出る。
外周の見回りをしていた先生に見つかり学校に戻れと言われたけれど、体調が悪いと嘘をついた。
白雪さん、置いてきちゃった……。
……屋上……空が見たい……。
雲の隙間から見える青を見上げる。
平坦なコンクリートの上、震える足が何度ももつれそうになる。
……体調が悪いなんてウソ、今までついたことなかったのに。
いつもはそれが本当で、だからそう言えばすぐに帰らせてもらえることは知っていた。
最悪――最低。
さっきから私は、ぐっと何かを耐えている。
鼻でスンと渇いた空気を吸うと、冷たい風に鼻の奥がツンとした。
やっぱり今年は、早く冬が来そうな予感。
そう思って粉らわせる。
気を緩めたら、何かがこぼれそうだった。
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