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ずっと背中しか見えていなかったから気付かなかったけど、佐々さんと話をしているのは、さっき屋上から眺めていたあの女の人だった。
凄い偶然。
「ほんとに? 凄い、凄いよ」
意識を向けると、途端に聞こえる話し声。
女の人は、ふわっと笑ってこちらに向けていた顔を佐々さんに戻すと、私からは表情が見えなくなる。
「ゆっきー、凄くない? 凄いよねっ」
ゆ…………。
ゆ゛?
「凄い、凄い」
「うわぁ。相変わらずの棒読み」
「や……本当に凄いよ。これでもびっくりしてますから」
「本当かなぁ」
遠くからだと、図書館で働く人・利用する人に見えていたのに。
今は全然、そうは見えない。
あの女の人、佐々さんの知り合い?
そうだとしたら、本当に凄い偶然だ。
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