127人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」
いつの間にか側まで来ていた佐々さんの声で、美穂さんの後ろ姿から目を離す。
「あ、はい。帰ります」
“ところで佐々さん、あの人誰ですか?”
パクパクと、金魚のように空気を噛んだ。
「僕ももうあがるから、送る」
「…………や? だ、大丈夫ですよ」
「え。なに今更遠慮してんのよ……」
「その、今日は用事があって」
「今日も? ……最近忙しいんですね」
「ハハ……」
「なら、気を付けて」
“暗いから。気を付けて”
「……はい」
佐々さんは、優しい。
最初のコメントを投稿しよう!