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「――いいや。この話はおしまい」
「切り替え早っ。小説のネタに、」
「ネタにはなりません。……私、元はうじうじ悩む性格じゃないんだよ? 柴田さんのこともあったし、今は少し、変なだけで……」
「ん。でも、人の性格って変わるらしいっすよ?」
先に教室の敷居を跨ぐ白雪さんは、顔だけ後ろに向けてそんなことを言ってくる。
「……うじムシにはなりたくないよ」
「ぐぁ、その言い方やめてっ」
私も教室に入ると、後ろの入口の前に固まって話をしている柴田さん達の姿を見つける。
相変わらず、そんなところに立ってたらクラスの人達の邪魔になるよ、と思うけれど、文句が言える人はいない。
今までと違って、柴田さんの私を感知するレーダーは発動されなくて。
登校してくるといつも睨まれていたのに、今はそんなこともない。
「リュック置いてくるっす」
「うん」
友達と話をしている柴田さんを視界に入れながら、私は自分の席へと向かう。
平和だ――。
「おはよう」
「……おはよう」
手提げカバンから机に教科書を移していると、登校してきた大内くんに挨拶された。
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