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大内くんはカバンを机の上に置いて、廊下にいる男子のところへ行く。
大内くんはもう、私のことはなんとも思ってないのかな。
少し前までの大内くんと、佐々さんと対面した時の今の私とが重なって。
ふと、そんなことを思った。
今も大内くんは私に謝ることがあるけれど、変な緊張は伝わってこない。
でも、私はまだ……。
佐々さんからすると、構えているように見えるのかな。
自分では意識しないようにしているのに。
そもそも、意識しないようにしている時点で、全然意識してるって話なのか。
ややこしい……。
机の上の手提げカバンにポスッと頭を乗せて、空の向こうを見つめる。
――カラカラカラ
「寒くないんすか?」
頭の上に手が伸びてきて、私は顔を浮かせると、ヒヤッとした風が入っていた窓を閉めてくれる白雪さんがいた。
「ありがとう。最近、温かい日と寒い日の変わりばんこだね」
「そっすねー。あとちょっとでグンと気温が下がるって、天気予報で言ってた。私の髪、冬は静電気で凄いことになるんすよ」
体調管理を、っておばさんの口小言も増えるわけだ。
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