霞み想-カスミソウ-(前編)

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「自由登校って、いつからなんすかね」 「確か、2月からじゃなかったかな」 「じゃあ、学校で沙彩ちゃんと話せるのもあと少しかぁ」 そっ……か。 このセーラー服とも、お別れか……。 袖を引っ張って、長かったなぁ、とこの3年間を振り返る。 でも最後の1年は、他に比べると早かったかな。 「試験、2人で合格したいっすねっ。この学校とはさよならだけど、進学したら大学で話せるし」 「うん、そうだね」 「大学行ったら何がしたいっすか? 物書きサークルとかないかなー」 「んー……。私は――」 こうやって、白雪さんや佐々さんに自分のことを聞かれると、戸惑いながらも考えて答えてきた。 私が聞き返せば、2人からもちゃんと言葉が返ってきた。 私、結構こだわりあるんだな、とか。 あれが好きなんだな、とか。 人を知る度、私は私のことも知れる。
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