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画面の文字を読み終えた時。
「お。今日はちゃんと席に着いてるな」
教科書を脇に抱えた先生が、教室に入ってきた。
「とっくにチャイム鳴り終わったじゃないすかー」
「先生、遅刻っすよーっ」
先生はいつもの硬い表情を解いて、男子の方を見やる。
その間に私は机の下で打ち込んだ文字を送信すると、何食わぬ顔で携帯をしまい、話をする先生とクラスメイトを傍観した。
今日は屋上に行けないのか……。
急に入ったバイトが億劫だとは思わないけど、屋上……行きたかったな。
そんなことを思いながら、学校での時間を過ごした。
それから放課後を迎えると、私はそのままバイト先へ向かうことにした。
――ガチャン
薄暗い休憩室、私の身長は超える縦長のロッカーを開けると、置いてあった制服とズボンを出して着替えを済ませた。
扉の裏にある鏡で前髪を整えていると、ふと、透明のマニキュアを塗った指先に目がいく。
昨日、図書館で話をしていた2人のことが脳裏に浮かんだ。
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