霞み想-カスミソウ-(後編)

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『……小説書いてるとね、こんな声を見掛ける。 “現実だったらこんなに立ち向かっていけないから” “すんなり好きだって認めたけど、一体どこを好きになったの” ……でも、思うんだよ。リアルは二次元よりファンタジーだって。現実、何気ないことで人を好きになっちゃったりするし、理由なんて後付けにすぎなかったりするもん。 その点小説は大変っすよ。読み手を主人公に感情移入させるには、相手のかっこいいとこたくさん見せて、読者さんにも恋をしてもらわなくちゃいけないんだ』 「うん」 『とまぁ、話が脱線するけど……。沙彩ちゃんは興味深いっていうか、その考え方とか聞いてると、インスピレーションが刺激されるんす。 だから沙彩ちゃんはそのまま、人がどうとか、人にどう思われるとか考えないで、沙彩ちゃん自身がどうしたいのか考えてほしい。 沙彩ちゃんはどうしたい? このままでいい? 外から見たらね、今そうなってる沙彩ちゃんを見てびっくりしてるんすよ。そうさせてる人がいるんだなって、嬉しくなる。 柴田さんの時みたいなのはお断りっすけど、そういうのなら本当……大歓迎』 言葉が出ない。 私は唇をんっと噛み締めて、コクンと大きく頷く。 『一方的に話しちゃったけど、私が言いたいことは言ったっ。あとは沙彩ちゃんが応えるんだよ、自分にね?』 また、頷く。 白雪さんには見えないのに。 『……泣いてるの?』 今度は首を横に振るけど、これじゃ伝わらない。 「ううん」 『ヒヒッ。なら安心っす。じゃあ……またね?』 「……ありがとう、白雪さん」
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