霞み想-カスミソウ-(後編)

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そろそろと携帯を耳から離すと、腕から力が抜けて、ポスンと力なくスカートの上に着地する。 「……」 ――ギュウ 雨を背にして玄関の前に座り込んでいる私は、 この感情がどこかにいってしまわないように 制服の胸元をずっと力いっぱい握り締めていた。 この日も雨。 だけど、あの日と違う。 頬が、指先が、心臓が――体が とても熱くて。 濡れた髪の毛なんて、すぐに乾いてしまいそうなくらい、熱くて。 大きく開いた目で一点を見つめながら、深く肩で息をしていた。 私―― 佐々さんが好き。  
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