122人が本棚に入れています
本棚に追加
そろそろと携帯を耳から離すと、腕から力が抜けて、ポスンと力なくスカートの上に着地する。
「……」
――ギュウ
雨を背にして玄関の前に座り込んでいる私は、
この感情がどこかにいってしまわないように
制服の胸元をずっと力いっぱい握り締めていた。
この日も雨。
だけど、あの日と違う。
頬が、指先が、心臓が――体が
とても熱くて。
濡れた髪の毛なんて、すぐに乾いてしまいそうなくらい、熱くて。
大きく開いた目で一点を見つめながら、深く肩で息をしていた。
私――
佐々さんが好き。
最初のコメントを投稿しよう!