霜焼け(前編)

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  布団が恋しい季節になると、毎年手に霜焼けが出来て困る。 その理由(ワケ)は、食事の仕度と食器洗いと、お風呂の残り湯を使って洗濯することくらいしか浮かばないけれど。 学校で、登校してきたクラスの子が手袋を外した時に綺麗な手が出てくると安心した。 自分の身の回りのことは、最低限自分でやれている。 あの子達よりは、自立出来てるよね。 と、小さな小さな優越感で自分を肯定してやるの。 指の、関節に出来る霜焼けは痒くて。 一度掻いたらむず痒くて、仕方なくて。 掻いた場所が、じんじん熱くなる。 今年の冬は まるで、心臓にも霜焼けが出来たみたいだ。  
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