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「もしかして、佐々さんっすか?」
白雪さんの口からその名前が出るだけで、ドキィッ、と心臓が跳ねる。
「う、うん……」
自分でも重症だと思う。
察しの良い白雪さんの前で、冷静を装うのが大変だ。
そして、それよりもっと大変なのは――。
「ごめん、白雪さん。帰る前に、屋上に寄ってもいい?」
from佐々さん
subまだいる?
渡す物がある。
「来てって?」
「あ……なんか、渡す物があるからって」
「それなら私、1人で帰るよ」
「っえ。でも、外暗い――」
「いいっすから! 今2人は、大事な時なんだから」
「でも」
「沙彩ちゃん!」
「ん」
可愛らしい眉を吊り上げた白雪さんに鼻をつままれて両目をつむる私は、口も黙るしかない。
「家に着いたらメールするっす」
「……絶対だよ」
「ヒヒッ。これ、沙彩ちゃんを黙らせるのにいいっすね」
「……はなしてくだはい」
私の鼻声がツボに入ったらしく、ずっと笑っている白雪さんを図書館の出口まで見送る。
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