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「いらっしゃいませー」
カゴを整理していた女性店員さんの挨拶に、
「いらっしゃいましたー」
と呑気な声で返す佐々さん。
店員さんにも聞こえたのか、何故か私がニッコリ笑顔を向けられる。
お店に入ると私がカートを引いて、前を歩く佐々さんは店内を物色し始める。
すぐにどこかへ消えてしまう佐々さんを見つけたかと思えば、彼は立ち止まって何やら真剣に商品棚を見つめていた。
視線の先にある商品を見て、私はギョッとする。
屋上を降りる際に言っていた佐々さんの『闇鍋』発言を思い出したからだ。
「野々原さん。これ、可愛くない?」
「あー……ハハ。その隣は可愛いですね」
「え……趣味悪」
さ、佐々さんに言われた。
お菓子売り場で見つけた四角い箱には、私が使っている手提げカバンのキャラクターと似たようなイラストが描かれている。
か、可愛い。
対象年齢3歳、キャラクター指人形にラムネが1個付いて、298円。
この可愛さなら、と箱に手を伸ばそうとしたら、周りの子供達にじーっと凝視されていることに気付く。
「……ヘヘ」
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