ばいばい(後編)

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「聞きたいことはあるけど、先にどうして泣いてるのか教えてくれる」 追い掛けて、来てくれた。 「……変な輩でもいた?」 辺りを見回す佐々さんは呼吸も落ち着いて、最後に深く息を吐く。 「……」 「ん?」 少し首を傾げて私を見下ろす彼の顔は、目に溜まっている涙でボヤけた。 佐々さんの手は冷たいのに、掴まれた肩に熱が集る。 そっと手が離れると、ポロ、と一粒涙が流れた。 いつまでも答えないでいる私に、佐々さんは声のトーンを下げて言った。 「……本当に何かされでもした?」 彼の目を見て微かに首を振ると、すぐにまた大きく横に振る。 「そう……。なら、どうしたの?」 その優しい声に涙が込み上げて、私は顔を歪めると、酸っぱい物でも食べたような顔になる。
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